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GPバーミンガム
グランプリ・バーミンガムのカバレッジから。
1日目
売上ランキング
Guillaume Wafo-Tapa vs. Sean Fitzgerald
Raphael Levy vs. Manuel Bucher
物語る
中村修平 vs. Michael Duke
Matthias Kunzler vs. Sebastian Knorr

2日目
初日+2日目、メタゲーム・ブレイクダウン
デッキ解説?
デッキ解説:8命令
Antti Malin vs. Rasmus Sibast
Marijn Lybaert vs. Jelger Wiegersma
ジャッジ&ジャッジング
Manuel Bucher vs. Cormac Smith
準々決勝:Manuel Bucher vs. Jelger Wiegersma
準々決勝:Raphael Levy vs. Jonathan Randle
準決勝:Raphael Levy vs Lee Shi Tian
決勝:Lee Shi Tian vs. Remi Fortier


売上ランキング
by Tobias Henke

新規フォーマット最初のビッグ・イベントともなれば、カード・ディーラーに投げかける質問は1つしかないだろう。
バイヤー・ブース、今日の一番人気はどのカード?

ランキング第1位であり、電光石火で完売したのが《鏡編み》。
聞くところによると、自分のクリーチャーを全部《ロード》に仕立て上げる戦術(そうしたら……後は横向きにするだけ)が、とにかく人気らしい。
《幽体の行列》(《鏡編み》のお供)にも需要が集まっており、《耳障りな反応》も(対抗策として)負けていない。
シャドウムーアの《しもべ》も全部、売れ行き好調だ。

聞くまでもない話として、《反射池》と新たな《フィルター・ランド》も大人気だが、《偶像の石塚》だけ未来予知に顔見せしたせいで後れを取っている。
一方の《変わり谷》は、あんまり売れてない。
人気だが驚くほどでもないカードには、《キンズベイル国境警備隊》、《ヴェンディリオン三人衆》、《雲打ち》なんかが挙げられる。

レア以外では、《炎渦竜巻》が大流行の兆しなんてもんじゃなかったが、先見ある者たちの中には、厄介な頑強クリーチャーを倒して……そして蘇らせない《増え続ける荒廃》を手にした者もいたようだ。

さて、この売上のどのくらいが後の武勇伝に繋がるのであろうか……。


フィーチャー・マッチ:第4ラウンド――漂える《熟考漂い》
Guillaume Wafo-Tapa vs. Sean Fitzgerald
by Tobias Henke

3つの不戦勝ラウンドが明け、世界中の精鋭たちが今週末の舞台にお目見えする。
この第4ラウンドを飾るに相応しい人物として、構築戦の第一人者であるGuillaume Wafo-Tapa以上の者がいるだろうか?
テーブルの向かい側で彼と対峙するのは、アイルランドのSean Fitzgeraldだ。

ダイス・ロールに勝利を収めたGuillaumeは、マリガン判断に若干の時間を費やす。
彼は手札を6枚に減らし、対戦相手はオープニング・ハンドの7枚をキープ。
Wafo-Tapaは《反射池》《秘教の門》と繰り出し、《島》から《熟考漂い》を想起。
だが、対戦相手は《原初の彼方》《ゆらめく岩屋》から《煙束ね》、そこから《山》に繋げて《熟考漂い》を墓地ではなく場に繰り出してきた。

その《熟考漂い》がWafo-Tapaのライフに干渉し始める。
2枚目の《熟考漂い》こそ《謎めいた命令》で打ち消すが、2枚目の《煙束ね》を通さざるを得ない。
Fitzgeraldは次のターンに、その膨大なマナを背景に2枚の《新星追い》をプレイ。
2枚目の《謎めいた命令》で1枚を葬り去るものの、もう一方が恭しく《熟考漂い》に重ねられる。

Wafo-Tapaは《質素な命令》で盤面を一掃するが、《熟考漂い》が舞い戻って主人にカードを2枚届ける様には、心底うんざりさせられる。
Fitzgeraldは《煙束ね》3号とエレメンタルの先触れ《炎族の先触れ》を場に出し、《白熱の魂炊き》を公開した。
《台所の嫌がらせ屋》で止血を試みるGuillaumeだが、Fitzgeraldの《名も無き転置》により、《ロード》で2/2になった《先触れ》を道連れにするに止まる。

Wafo-Tapaの《叫び大口》が相手方の《熟考漂い》を排除し、《その場しのぎの人形》を重ねて再臨。
アイルランド人は《熟考漂い》を場に追加するが、もう1枚は《砕けた野望》に阻まれる事になった。

Fitzgeraldの《熟考漂い》3号は《その場しのぎ》の《熟考漂い》と相打ち、4枚目登場の隙にWafo-Tapaも《その場しのぎの人形》。
《熟考漂い》たちが輪廻を繰り返す中、最終的にFitzgeraldの《恨み唸り》とWafo-Tapaの《雲打ち》の登場によって、空は静けさを取り戻した。

その後、アイルランド人の手札が底を尽き、繰り出される緑7/7の攻撃に屈服する事となった。

Guillaume Wafo Tapa 1 - 0 Sean

Fitzgeraldが先攻を取るが……秒でマリガンを選択。
不幸は重なるもので、危険を伴う次の6枚をキープした後、3ターンを土地のプレイのみで費やす立ち上がり。
4ターン目にして《白熱の魂炊き》を場に出す事ができたが、あっさりフランス人の《叫び大口》の餌食となる。

5枚目の土地を引けないFitzgeraldは、頭を振りつつ手札の《熟考漂い》を想起でプレイするしかない。
ドローを2枚進めてさえ彼は3ターンの間土地を置けず、その間にマナ・ベースを調えたWafo-Tapaは《雲打ち》をキャストし、2−0へ王手をかけた。

しかしFitzgeraldも簡単には膝を折らない。
《その場しのぎの人形》で《熟考漂い》を呼び戻し、そのドローで《叫び大口》を引き込んだ。
《雲打ち》は2回攻撃して戦線を離脱、Wafo-Tapaは別の勝ち筋を模索する。
土地が8枚並び、その全てからマナを引き出し彼が放つは《思考の泉》!
カード・アドバンテージって何だ!?

こうなっては、もう彼の詰め将棋だ。
溢れる《叫び大口》、溢れる打消し呪文、……あ、2枚目の《雲打ち》。
しかし、対戦相手の《叫び大口》に対処するマナがなかったせいで、彼はご愁傷様となった。

最終局面は、両プレイヤーが《雲打ち》を出すという面白い様相となった。
ただ、Wafo-Tapaはマナのない対戦相手の《雲打ち》に直接対峙せず、シンプルにバウンスする事にした。
1度の攻撃と1度の握手の後に、戦績は……。

Guillaume Wafo-Tapa 2 - 0 Sean Fitzgerald


フィーチャー・マッチ:第6ラウンド――貪欲の概念
Raphael Levy vs. Manuel Bucher
by Tobias Henke

フランスのRaphael Levyは、大変な《エレメンタル》デッキを今日に持ち込んできた。
対するスイスの新星Manuel Bucherがプレイするのはコントロール寄りの《命令》デッキだ。
両者とも5色デッキである。

ダイス・ロールに勝利したLevyは、《煙束ね》から第3ターンに神速の《概念の群れ》を登場させる。
スイス人はしかし、《砕けた野望》によってそれを退け、《台所の嫌がらせ屋》を続けた。
タップ・アウトで渡したターンにLevyが繋げるのは――全能なる《目覚ましヒバリ》。
次いでフランス人は《雲打ち》を加え、これがBucherの《叫び大口》に倒れるや、《その場しのぎの人形》で《概念の群れ》を場に呼び戻す。
うむむ、何という色彩の(そして死の)祭典!

Levyが《群れ》の能力で《雲打ち》をプレイすると、Bucherは《謎めいた命令》で《群れ》を倒しつつ《人形》をカウンター。
しかし、そうしている間に《目覚ましヒバリ》がBucherのライフを大きく削り取り、Levyがもう1枚の《その場しのぎの人形》を公開すると、Bucherは肩をすくめて降参した。

Raphael Levy 1 - 0 Manuel Bucher

Levyは再び《煙束ね》からの滑り出し。
Bucherが《台所の嫌がらせ屋》を配備し、祈る。
「《概念の群れ》はないよな。2度は勘弁!」
確かにLevyがプレイしたのは《熟考漂い》だったが、しかし彼は《白熱の魂炊き》から《大爆発の魔道士》と繋げ、後者は《砕けた野望》で墓地に。
次のターンのLevyの《叫び大口》は《謎めいた命令》で打ち消され、《魂炊き》も手札に戻される。
《炎族の先触れ》もスイス人の悩みの種となってしまうのは、公開されたのが《目覚ましヒバリ》だからだ。
しかし、まずLevyは更地の盤面に《叫び大口》を呼び出し、相手の打ち消し呪文を探る。
そして、Bucherはこれをカウンター。
次は《白熱の魂炊き》で、これもまたカウンター。

試合は持久戦の様相を見せてきた。
Bucherの《台所の嫌がらせ屋》の対抗策に、Levyは《熟考漂い》を1枚。

そこでBucherは《原初の命令》をプレイし、2枚目の《台所の嫌がらせ屋》を手札に加え、Levyの墓地をライブラリーに切り直そうとする。
そこに対応してLevyは《その場しのぎの人形》で《白熱の魂炊き》を蘇らせた。
《魂炊き》の能力で《目覚ましヒバリ》を直接場に出し、8点の攻撃でBucherのライフを6まで落としてから、《叫び大口》のプレイで自身の《熟考漂い》を破壊。
ターン終了時に《ヒバリ》が墓地に落ちると、《熟考漂い》の帰還により、完全に空になっていたLevyの手札が補充される。

Bucherはライフ、クリーチャー、手札の面で遅れを取り、特に戦線を維持する手駒を欠いていた。
2枚目の《原初の命令》で持ってきた《台所の嫌がらせ屋》と合わせて、9点のライフを回復する。
Levyは《叫び大口》で攻撃し、2枚目の《大口》をプレイ。
ライフは現在、15対7。

Bucherは次のターンに《思考の粉砕》でLevyの最後の手札を捨てさせようとすると、フランス人は《魂炊き》の能力を起動し、公開された《目覚ましヒバリ》がこのゲームを、このマッチを決めた。

Raphael Levy 2 - 0 Manuel Bucher

Bucherは試合が終わってから、このマッチを勝ちに導く《炎渦竜巻》をサイド・アウトしたのが失敗だったと反省していた。
Levyも振り返るに、サイド・インした《大爆発の魔道士》はあまり役に立たなかったが、他に選択肢もなかったそうだ。


物語る
by Tobias Henke

みんな、キャンプ・ファイヤーに集まれ。物語が始まるよ……。

《鏡編み》と《しもべ》の相性が良いのはご存知の通り。
でも、どうやったら一番効果的なのかは意見の分かれるところだ。
第3ラウンドで、あるプレイヤーが実際に体験した事だけど、3体の攻撃クリーチャーの1体を通したら、一気に16点のライフを持って行かれたって!
攻撃プレイヤーの《風立ての高地》から《雲山羊のレインジャー》が出てきて、そこで《鏡編み》の対象を《萎れ葉のしもべ》にすれば――そう、1体16点!

色々想像してみよう!
今日ここに来てる人には、第5ラウンドまで全部ミラー・マッチだった人もいるんだ。
《フェアリー》デッキだったらあり得る話で――そりゃ、これだけ使ってる人がいればね。

第5ラウンドで起こった面白珍プレー、Helmut SummersbergerがFlorian Pilsと対戦した時の事だ。
彼の初手には《苦花》が2枚あった。
1ターン目に彼は《思案》をプレイし、もう1枚《苦花》が見つかったからシャッフルを選んだ。
そしてライブラリー・トップから引いたのは3枚目の《苦花》、そして4枚目!
彼は2枚の死に《花》を抱えながら、場にある2枚の死の《花》にライフを吸われて、そのゲームに負けたんだって。
苦いね。

この両プレイヤーがまた別のお話を語ってくれるよ。
ドイツのFlorian Pilsは飛行機を今朝の1便しか捕まえられなくて、参加受付やプレイヤー会議に間に合わず、デッキ・リストも提出できなかった。
不戦勝が3つあったから、実質の第1ラウンドには間に合うんだけど……、だからオーストリア人プロのSummersbergerにPilsの受付とデッキ・リスト提出を――その75枚のカード全部を会場にいるプレイヤーたちから借りておくよう、頼んだんだ。
第5ラウンドで同じテーブルに座って、PilsがSummersbergerに勝っちゃった時の2人の顔が想像できるかい?
何たる恩返しだろうね。
それでも、Florian PilsとHelmut Summersbergerは友達同士さ。


フィーチャー・マッチ:第7ラウンド――もっと《フェアリー》を
中村修平 vs. Michael Duke
by Tobias Henke

《フェアリー》で疾走(飛翔?)する日本人トップ・プロ、対する地元の名手Michael Dukeが選択したのは白ウィニーだ。
この時点での全勝対決である。

ダイス・ロールで勝ったDukeが先手を切り……いや、2回のマリガンでちょっと足踏みか。
しかし、彼はそれに負けじと《ゴールドメドウの侵略者》《皺だらけの主》《ゴールドメドウの侵略者》と、今週末のフィーチャー・マッチ随一のロケット・スタートを決める。
その間、中村は《苦花》を置いて、1体目のトークンが《皺だらけの主》をブロック。
Michaelは気にも留めていなかったが……、《ウーナの末裔》の登場によってチャンプ・ブロックが相打ちに。

そうしているうちに、Michaelは攻勢を維持するカードを欠くようになり、中村の《苦花》が各ターンに1体トークンを吐き出しているのに、彼の後続はやって来ない。

中村が《ヴェンディリオン三人衆》《霧縛りの徒党》と盤面に追加して攻撃を開始すると、Dukeは早々にカードをかき集めた……。

Shuuhei Nakamura 1 - 0 Michael Duke

Dukeが今一度先攻を取り、今度は中村が1マリガン。
彼はマリガンを1で止めるものの、その6枚はお世辞にも良い手札とは言えない。
《ゴールドメドウの重鎮》《風立ての高地》から《幽体の行列》と繋げていく一方、中村修平の盤面には《沼》が1枚……。
《コショウ煙》でトークンの1体を除去するものの、2枚目の土地を引く事はなかった。

Shuuhei Nakamura 1 - 1 Michael Duke

3ゲーム目のシャッフルの最中にイギリス人が、
「気にするなよ、このマッチの後に良い試合が1つくらいあるさ」
と話しかけると、中村も頷くだけだった。

その通りかどうかはともかく、3ゲーム目はマリガンなし。
中村の第1手は、3ターン目の《苦花》。
Dukeは《ゴールドメドウの重鎮》《メドウグレインの騎士》と展開し、《薄れ馬》でエンチャントを破壊と好調な滑り出し。
次のターン、Dukeの攻撃時に中村は《変わり谷》で《ゴールドメドウの重鎮》をブロック。
Dukeは《シスルダウンのしもべ》で破壊を免れようとするが、日本人は《しもべ》に《名も無き転置》。

続いて《皺だらけの主》が《謎めいた命令》で打ち消され、《メドウグレインの騎士》がDukeの手札に帰される。
中村の現在のライフはすでに5まで落ち込んでおり、必死にブロッカーを模索する。
調達してきたもう1枚の《変わり谷》をDukeの《谷》へのブロッカーとし、《ウーナの末裔》で延命。
《ひなびた小村》で強化された《薄れ馬》が追加の2点を稼ぎ、《幽体の行列》が3体ものアタッカーを生み出す……。

日本人に暗雲が立ち込める。
1枚目の《変わり谷》が失われた事が、マナ基盤に大きくのしかかっていた。
彼はかろうじて《謎めいた命令》のマナを捻出し、次の攻撃を回避しつつ《薄れ馬》をバウンスする。
しかし、《鏡編み》で対応したDukeが指し示したのは《ウーナの末裔》、対象不適正で《命令》を打ち消すと、中村は片手を差し伸べた。

Shuuhei Nakamura 1 - 2 Michael Duke


全勝は見えたか
Matthias Kunzler vs. Sebastian Knorr
by Tobias Henke

この両名は数少ない全勝者の2名であり、また全勝を見据える2人でもある。
ドイツのSebastian Knorr(1分けを含む)が駆るのは「10命令」、対するスイスのMatthias Kunzler(7−0)は《フェアリー》である。

Kunzlerがダイス・ロールに勝利したが、1回マリガン。
土地を2枚置くまでに2枚の《思案》をプレイする。
3ターン目に《苦花》、4ターン目に《ウーナの末裔》をプレイできるよう、ライブラリーを操作する(土地が置ければ――土地が詰まっているかのように見せ掛けている)。
だが《末裔》は《謎めいた命令》で墓地に。

Kunzlerの後続が来ない。
その実、彼は逆土地事故に見舞われたようだ。
ドイツ側の盤面に《野生語りのガラク》が登場し、Kunzlerの《霧縛りの徒党》にも対応で《雲打ち》が。
Kunzlerはまた徒手空拳に。

《妖精の女王、ウーナ》御自らの出陣には……しかしすぐに2枚の《名も無き転置》で問題に対処する。
その間、《雲打ち》は《霧縛りの徒党》と2枚目の《苦花》(1枚目は《徒党》の下敷き)に立ち往生している。

《炎渦竜巻》1号が《謎めいた命令》で打ち消され、《炎渦竜巻》2号も《呪文づまりのスプライト》、そして《炎渦竜巻》3号が遂に通り、Knorrは意気揚々とレッド・ゾーンに繰り出した。
《霧縛りの徒党》と《名も無き転置》の合わせ技で《雲打ち》が討ち取られると、場に帰ってくる2枚目の《苦花》。
しかし、それが効果を発揮する前にKnorrの《質素な命令》が見舞われる。
Knorr側に《台所の嫌がらせ屋》が登場、すね齧りな《花》ですでにライフが落ち込んでいるKunzlerには、洒落にならないクロックだ。

刻々とクロックの針が進み、そして時間は底を付いた。

Matthias Kunzler 0 - 1 Sebastian Knorr

スイス人が先攻を取ったものの、先に動いたのはKnorrの《葉光らせ》。
Kunzlerの《ヴェンディリオン三人衆》がドイツ人の手札にある3枚もの《雲打ち》を明らかにするが、4マナに到達するには土地が1枚足りない。
「面白い」
Kunzlerが評した。

Knorrに6マナを揃えさせない狡猾な計画を立て、《名も無き転置》で《葉光らせ》を除去してから、彼のマナを2枚の《霧縛りの徒党》で攻撃する。
作戦は功を奏し、6枚目の土地をKnorrが見る事はなかった。

Matthias Kunzler 1 - 1 Sebastian Knorr

Knorrが1マリガン、同様に向かい側も1マリガン。
そして、決着を付ける戦いが始まる。
Kunzlerによる《思考囲い》が、Knorrの初手に土地が2枚しかない事を暴き――現時点の泣き所――1枚の《肥沃な大地》が捕縛された。
ドイツ人が深刻な土地事故に見舞われ、懸命の《熟考漂い》想起も《砕けた野望》が妨害する。
彼の次の手である《台所の嫌がらせ屋》も再度の《砕けた野望》、激突がドイツ人のライブラリーから公開された4枚目の土地をも砕く!
そして激突後にKunzlerのトップをめくる瞬間の盛り上がりは如何ほどのものか……土地なし!
そうして、ドイツ人が4枚目の土地を得るたった1度のチャンスは露と消えた。

Kunzlerは2枚の《フェアリー》をプレイし、空からの攻撃にKnorrが屈服した時――土地は未だ3枚のままだったのだ。

Matthias Kunzler defeats Sebastian Knorr 2 - 0 and completes the 8-0 record.


初日+2日目、メタゲーム・ブレイクダウン
by Tobias Henke

少数デッキの数と割合の需要も酌みつつ、ブロック構築のメタ・ゲーム全てを表にまとめてみた。

初日2日目
《フェアリー》10718.5%2437.5%
《キスキン》9516.4%1828.1%
《命令》デッキ559.5%710.9%
《エレメンタル》549.3%34.7%
《ドラン》539.2%11.6%
《エルフ》356.1%23.1%
白緑アグロ305.2%
《ローグ》234.0%
赤単172.9%
《その場しのぎの人形》162.8%46.3%
赤緑アグロ162.8%11.6%
黒赤アグロ162.8%11.6%
白黒赤コントロール142.4%23.1%
《ツリーフォーク・シャーマン》91.6%
《マーフォーク》71.2%
《ゴブリン》50.9%
《戦士》30.5%
その他234.0%
合計578100%64100%



デッキ解説?
by Tobias Henke

我々が初日のメタゲーム・ブレイクダウンを行っていた時、どう分類したものか、非常に興味深いデッキが1つあった。
このフォーマットがブロック構築として似つかわしくないのが、ラヴニカに勝るとも劣らないマナ補正を備えている点なのだが、このOmar Rohnerのデッキ・リストを見て頂ければ――このスペイン人プレイヤーは昨日に6−2の成績を上げ、タイブレイクで惜しくも2日目を逃してしまった。

《炎渦竜巻》《包囲の搭、ドラン》《妖精の女王、ウーナ》《復讐の亜神》が1つのデッキに同梱されているのを、誰が想像できただろうか?
いや、我々も……。

Diesel Revenge
Omar Rohner

4 《レンの地の克服者/Wren's Run Vanquisher(LRW)》
4 《名も無き転置/Nameless Inversion(LRW)》
3 《苦花/Bitterblossom(MOR)》
3 《ガドック・ティーグ/Gaddock Teeg(LRW)》
4 《外身の交換/Crib Swap(LRW)》
3 《炎渦竜巻/Firespout(SHM)》
4 《包囲の搭、ドラン/Doran, the Siege Tower(LRW)》
4 《カメレオンの巨像/Chameleon Colossus(MOR)》
4 《復讐の亜神/Demigod of Revenge(SHM)》
2 《妖精の女王、ウーナ/Oona, Queen of the Fae(SHM)》

4 《反射池/Reflecting Pool(SHM)》
4 《鮮烈な湿地/Vivid Marsh(LRW)》
3 《鮮烈な林/Vivid Grove(LRW)》
4 《つぶやき林/Murmuring Bosk(MOR)》
4 《古の円形劇場/Ancient Amphitheater(LRW)》
4 《光り葉の宮殿/Gilt-Leaf Palace(LRW)》
2 《人里離れた谷間/Secluded Glen(LRW)》

サイドボード

1 《鮮烈な林/Vivid Grove(LRW)》
1 《炎渦竜巻/Firespout(SHM)》
4 《食いつくいましめ/Biting Tether(SHM)》
4 《増え続ける荒廃/Incremental Blight(SHM)》
4 《雲打ち/Cloudthresher(LRW)》
1 《妖精の女王、ウーナ/Oona, Queen of the Fae(SHM)》


デッキ解説:8命令
by Tobias Henke

Guillaume Wafo-TapaとManuel Bucherの両名は、これまで今週末のフィーチャー・マッチの常連と化している(そういう意味の対戦では、今のところ3−1だ)。
フランスのWafo-Tapaは現在8−1、一方のManuel Bucherは7−1−1。
彼ら自身のスタンダード・デッキをブロックの制限内で再構築し、2日目の競合者の多くを切り捨て、トップ8に極めて近い位置に押し上げた共同制作物の内側を、若きスイス人と共に探らせていただこう。

「多分、このデッキで一番変なカードは《羽毛覆い》の1枚挿しだろうね。
ここは4枚目の《炎渦竜巻》のスロットで、《炎渦竜巻》1枚と《羽毛覆い》1枚なら、普通は《炎渦竜巻》2枚にするよね」

しかし、環境の良く似たデッキと一線を画すのが、このリストにある些細な1枚挿しなのだ。
「他の《命令》デッキは大抵《肥沃な大地》と《野生語りのガラク》を搭載しているんだけど、この手のデッキは3マナ域がかなり渋滞してるし、《肥沃な大地》には環境に天敵が沢山いて、例を挙げると《やっかい児》《大爆発の魔道士》《原初の命令》《謎めいた命令》なんかでタップ、バウンス、エンチャントした土地ごと破壊と、やられ放題なんだ」

プレインズウォーカーについて聞いてみると、若きスイス人は、
「《野生語りのガラク》は実際そんなに強くないね。
ミラー・マッチだったら《叫び大口》や《熟考漂い》で攻撃されてリタイヤメントだし、《その場しのぎの人形》でこいつらがターン・エンドに出てくるのも珍しくない。
《野生語りのガラク》を出されて負けた事はないけど……」
彼は付け加えた。
「僕らのサイドボードには《ジェイス・ベレレン》がいるんだ」

「今のところ、僕らの対《フェアリー》の戦績は4−1」
Bucherが嬉しそうに話す。
「見たところ、《フェアリー》が一番多いね、って事は中々悪くないんじゃないかな。
白ウィニーとのマッチアップも同じくらいだし、ミラー・マッチもね。
みんな《ガラク》と《肥沃な大地》が弱点になるし、僕らには《砕けた野望》と《思考の泉》がある。
《思考の泉》は多分、このデッキ最強の1枚だよ」

「反対に、相性の悪いマッチアップは《目覚ましヒバリ》入りの《エレメンタル》かな。
Levyとのフィーチャー・マッチは、この弱いところが出ちゃったね。
《ヒバリ》を除去しちゃうと、大抵《熟考漂い》とエレメンタルの《先触れ》が帰ってきて、また《目覚ましヒバリ》が仕込まれる。
これが本当に厄介だからね……、サイドボードに《原初の命令》を積んでるんだ。
このカードを入れたからもう安心って事ではなくて、このマッチアップでは全体除去よりも墓地対策を優先しなくちゃならないんだ」

「もう1つ問題があるとすれば、このデッキは60分のラウンド用に作ってある事かな」
スイス人が物思いに耽る。
「50分だったら、《黄昏の番人》を1枚積んでおいた方が良いね」

さて、もうこれくらいにして、デッキ・リストだ。

8《命令》
Manuel Bucher & Guillaume Wafo-Tapa

3 《炎渦竜巻/Firespout(SHM)》
4 《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks(SHM)》
1 《羽毛覆い/Plumeveil(SHM)》
3 《その場しのぎの人形/Makeshift Mannequin(LRW)》
4 《謎めいた命令/Cryptic Command(LRW)》
4 《熟考漂い/Mulldrifter(LRW)》
3 《叫び大口/Shriekmaw(LRW)》
3 《雲打ち/Cloudthresher(LRW)》
2 《質素な命令/Austere Command(LRW)》
4 《砕けた野望/Broken Ambitions(LRW)》
3 《思考の泉/Mind Spring(MOR)》

4 《反射池/Reflecting Pool(SHM)》
4 《鮮烈な小川/Vivid Creek(LRW)》
4 《鮮烈な林/Vivid Grove(LRW)》
2 《鮮烈な草地/Vivid Meadow(LRW)》
3 《秘教の門/Mystic Gate(SHM)》
2 《沈んだ廃墟/Sunken Ruins(SHM)》
1 《火の灯る茂み/Fire-Lit Thicket(SHM)》
1 《樹木茂る砦/Wooded Bastion(SHM)》
3 《島/Island(SHM)》
2 《森/Forest(SHM)》

サイドボード

1 《炎渦竜巻/Firespout(SHM)》
3 《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren(LRW)》
3 《羽毛覆い/Plumeveil(SHM)》
1 《叫び大口/Shriekmaw(LRW)》
2 《原初の命令/Primal Command(LRW)》
2 《黄昏の番人/Twilight Shepherd(SHM)》
1 《雲打ち/Cloudthresher(LRW)》
2 《思考の粉砕/Mind Shatter(MOR)》


空と地の戦い
Antti Malin vs. Rasmus Sibast
by Tobias Henke

デンマークのRasmus SibastとフィンランドのAntti Malinの、スカンジナビア対決だ。
そして、神話の中の「Fae」(Malin)と「Kith」(Sibast)の戦いは、今日頻繁に見受けられるマッチアップでもある。

Malinがダイス・ロールに勝利して7枚の初手をキープすると、Sibastは1回……2回……3マリガン!
「26枚も土地入れてるのに、こいつら顔も見せやしない」
Sibastの不平も無理はない。
「もうどんなカードが来てもキープするしかないな」

彼はその通りにして、第1ターンに《風立ての高地》、次いで《皺だらけの主》と中々の引きだ。
《ロード》はMalinの《砕けた野望》でカウンターされるが、再度の《皺だらけの主》――これも再度の《砕けた野望》という妙。

すぐにSibastはガス欠に陥り、デッキの応答も冴えない《ブレンタンの炉の世話人》、マナ不足で複数の《雲山羊のレインジャー》が手札に溜まる。
その間、Malinは黒マナの捻出に手こずっており、攻撃に転じようにも《苦花》が腐って動く事もままならない。
「おーいー、さっさと殺してくれー」
もはや欲求不満げにSibastが嘆く。

《霧縛りの徒党》で《変わり谷》を覇権するにも土地を並べなくてはならず、そうしているうちに結局Fae側が勝った。

Antti Malin 1 - 0 Rasmus Sibast

Sibastは先手を取ってマリガンなし、そして《ゴールドメドウの重鎮》から《皺だらけの主》、《メドウグレインの騎士》《風立ての高地》と繋げる。
Malinが2ターン目に置いた《苦花》のライフ・ロスも相まって、彼のライフはすでに7。
さあ、Faeの番だ!

《風立ての高地》の秘匿の起動を避けるため、彼は自分のメイン・フェイズに《名も無き転置》で《皺だらけの主》を除去したが、《幽体の行列》で5体になったSibastのクリーチャーを憂鬱げに眺めるしかない。
さらに悪い事に、Sibastは2枚目の《風立ての高地》を盤面に追加する。

Malinは《霧縛りの徒党》でとりあえず時間を稼ぐ。
それに動じず、Sibastはレッド・ゾーンになだれ込んで《騎士》とトークン2体を失いつつも、Malinのライフを致死圏の3まで落とし込んだ。
そして《平地》と《ゴールドメドウの侵略者》をプレイしてターンを返す。
《侵略者》は早々《叫び大口》で除去され、Sibastは3体の攻撃クリーチャーを用意できない……!

2枚目の《ゴールドメドウの重鎮》をプレイしてターンを渡すと、Malinにアクションはなし。
やっと最後の攻撃と2枚の土地を起動する時が帰ってくると、まず最初に姿を現した《忘却の輪》で《叫び大口》を排除し、もう一方の《皺だらけの主》がSibastの勝利を決めた。

Antti Malin 1 - 1 Rasmus Sibast

Malinは初手を重苦しく眺めながら、キープを決めるまでかなりの長考。
彼は最初の2ターンに何もプレイせず、Sibastも望外に2ターン目の《メドウグレインの騎士》から始まる。
Sibastのアップキープに《やっかい児》が彼の土地を1枚縛ると、Sibastの深刻な土地事故が露になり、3枚目の土地はおろか何もプレイできずにこのターンを終了した。

泣きっ面に蜂とはこの事、続いてデンマーク人は《霧縛りの徒党》に強襲され、そして再度の《霧縛りの徒党》(《変わり谷》を覇権)。
5ターン目の終了時には8枚の手札から1枚捨てる事に……。

2体の4/4飛行に対して《メドウグレインの騎士》1体では如何ともし難く、当然それも長くは続かない……。

Antti Malin 2 - 1 Rasmus Sibast

《フェアリー》対《キスキン》のマッチアップではどちらに分があるのか、議論の交わされるところだ。
「俺の対《フェアリー》の戦績は3−2だが」
Sibastが言う。
「今のところは別のマッチアップがやりたいな」


頂点への道
Marijn Lybaert vs. Jelger Wiegersma
by Tobias Henke

ハリウッドでトップ8に入賞したばかりのベルギー人、Marijn Lybaertがプレイするのはメタ・デッキ筆頭の《フェアリー》。
しかし、彼のデッキには不自然なほどの《鮮烈な小川》と《鮮烈な湿地》、あまつさえ《反射池》まで見受けられ、聞くところによると、ある秘密兵器が搭載されているらしい。
オランダのJelger Wiegersmaは《キスキン》である。
両プレイヤーとも、これまでに黒星1つと引き分けが付いており、これ以上増やす訳にいかないところだ。

Wiegersmaの第1手は《皺だらけの主》だが、先のターンにLybaertの《思考囲い》で《幽体の行列》を奪われている。
それが効いているのか、オランダ人の3ターン目はインパクトに欠ける《ブレンタンの炉の世話人》のプレイのみ。
その後は、2枚の《名も無き転置》で《皺だらけの主》と共に《シスルダウンのしもべ》を失う事となった。

しかし《雲山羊のレインジャー》で試合展開を立て直し、《風立ての高地》をアクティブにする。
《高地》から《メドウグレインの騎士》が飛び出して、Wiegersmaの手札からももう1体。
盤面は《キスキン》の入植でごった返している。

しかし、Lybaertも速やかに戦略を整え、《変わり谷》《呪文づまりのスプライト》《ウーナの末裔》で立て直す。
《巨人》が彼のライフを7まで落とし込み、Wiegersmaが選択を迫る《鏡の精体》。
Lybaertは《霧縛りの徒党》を戦線に投入し、《変わり谷》を覇権して攻勢に転じた。
飛行軍団の8点攻撃でWiegersmaのライフは12になり、定石の《謎めいた命令》が《キスキン》を押し止める。

2枚目の《命令》がすでにLybaertの手中で待機しているが、飛行を持ってブロッカーともなる《雲山羊のレインジャー》の2枚目をWiegersmaが展開すると、途端にベルギー人の攻勢は息を潜めてしまい……。
《鏡の精体》を前に、彼の防衛線はなす術もなかった。

Marijn Lybaert 0 - 1 Jelger Wiegersma

2ゲーム目もたけなわ、Lybaertのデッキにある《鮮烈土地》の意味を思い知らされる。
2枚の《ブレンタンの炉の世話人》と《メドウグレインの騎士》を《増え続ける荒廃》で処理した後に、《炎渦竜巻》が《シスルダウンのしもべ》と《ゴールドメドウの侵略者》を吹き飛ばす。

変形サイドボードらしく、ありったけの全体除去がベルギー人の手札から唸りを上げる。

対戦相手が飛行か地上のクリーチャーどちらかだけを使っているなら、8枚のマナ基盤から赤か緑1つだけを捻出すれば良い。
だが、その両方が組み合わさっているとなると……。
《炎渦竜巻》を生き延びたWiegersmaの《スピリット》トークン3体が《雲山羊のレインジャー》と連携し、《鏡編み》が迅速に試合を決した。

Marijn Lybaert 0 - 2 Jelger Wiegersma


ジャッジ&ジャッジング
by Tobias Henke

総じて構築戦のグランプリは、リミテッドのイベントよりジャッジのお仕事も少なくて済む。
プレイされるカードの種類も少なく、それらは大抵良く知られているカードだからだ。
もちろん、数は少なくとも、総合ルールの深部を手探るような事態に出くわす事もある。

その最もたるは、幾層にもわたるルールがコピー効果と干渉する事例だ。
問題:
《雲打ち》を対象に《鏡編み》をプレイしたのだが、そこにはクリーチャー化した《変わり谷》があった。
この小さな《谷》は一体どうなってしまうのか?

答えは、全てのクリーチャー・タイプをもった緑の2/2になるそうだ。
それはなぜか?
まず最初に《鏡編み》のコピー効果を適用、その後に《変わり谷》自身のタイプ変更効果、それからパワー・タフネスの変更効果という適用順になるからだ。

さて、こちらはどうだろう:
クリーチャー化した《変わり谷》を《鏡編み》の対象とした時、これ以外のクリーチャーはどんな事になるだろうか?
この場合は、他の全てのクリーチャーがクリーチャーでなくなる。
当然これらは1マナ払って能力を起動できるが、コピー効果はコピー元のカードに長々書いてある基本情報(これを「コピー可能な値」と言う)のみを考慮し、それ例外の適用効果を無視するのだ。

もちろん我々が厄介な状況に陥った時には、至る所に聡明なジャッジたちが控えてくれている。
さあ、今回のヘッド・ジャッジAdam Cetnerowski氏を紹介しておこう。
こんにちは!


勝利即ち進出
Manuel Bucher vs. Cormac Smith
by Tobias Henke

スイス・ラウンドも最後を向かえ、両プレイヤー共に勝てばトップ8進出となる重要な一戦を。
Bucherがプレイするのは自身謹製の多色コントロール、対するアイルランドのSmithは《フェアリー》だ。

ダイス・ロールはSmithに軍配が上がり、Bucherが1マリガン、そして最後の戦いが始まる。
Bucherの第1手となる《台所の嫌がらせ屋》は《砕けた野望》に処されるが、次のターンの《熟考漂い》想起が通る。
だが土地を引けなかったBucherはターン終了時に1枚ディスカード。

その間、Smithは徐々に攻撃態勢を整える。
そして脅威となる《霧縛りの徒党》がプレイされて、Bucherはやっと4枚目の土地を見つけるが、その返しにも《徒党》が別の《フェアリー》を覇権する。
《質素な命令》が盤面を鎮めて、Bucherはやっと一息ついた。

Smithは《ウーナの末裔》を場に出すが、《叫び大口》がそれを降す。
《変わり谷》が《叫び大口》と相打ちになり、Bucherは土地をプレイする他に行動を起こさない。

そして《熟考漂い》をプレイし、Smithの《謎めいた命令》を用意していた《砕けた野望》で退ける。
2枚目の《漂い》が登場し、Bucherは手札・土地で圧倒――数ターンの《熟考漂い》の攻撃で――ライフさえも同様となった。

Manuel Bucher 1 - 0 Cormac Smith

うって変わってSmithがマリガンする番となった。
それでも彼は《思案》から《苦花》《やっかい児》と幸先の良いスタートを切る。
《砕けた野望》の邪魔もない。

続ける《思考囲い》は、しかしながらBucherの危険な手中を明かす事になった――《雲打ち》2枚と《その場しのぎの人形》、後者が速やかに墓地へ。
Bucherを攻撃する航空戦力を叩く前に、彼はクロックとなる《台所の嫌がらせ屋》を配置。

これが完全犯罪というものか。
各ターンのアップキープにBucherはお決まりの《霧縛りの徒党》を待ち受けるが……、来る由もない。
《台所の嫌がらせ屋》は攻撃毎に《苦花》トークンを楽しそうに料理し、《雲打ち》の波状想起が空を一掃する。
結局Smithは、自分の《苦花》と少量の《嫌がらせ屋》のダメージによって敗北を迎えた。

Manuel Bucher defeats Cormac Smith and proceeds to the quarterfinals.


準々決勝:Manuel Bucher vs. Jelger Wiegersma
by Frank Wareman

私の記憶にあるManuel Bucherは、彼が世界レベルのプレイヤーになった今でさえ、GPチューリッヒを制した2004年の小さな少年のままだ。
Jelger Wiegarsmaは、ここ数年間プロ・プレイヤーとしての日々を送っている。

このゲームは、カードに触る前から波乱を予感させる始まりとなった。
Jelgerが2つのダイスで12を出し……、そしてManuelが出した目も12!
これが対戦も同様だったら、面白い試合になったんだが。
2回目はJelgerが勝利し、先攻を取った。

Jelgerは《皺だらけの主》から《幽体の行列》の颯爽とした滑り出し、だが《砕けた野望》がそれを阻む。
(ゲームのこの段階では、何と名前に似合ったカードかと思ってた)
しかし、もう1枚の《幽体の行列》と《シスルダウンのしもべ》がManuelの防御網を圧倒し、更に《変わり谷》を従えた《皺だらけの主》の全軍攻撃から、《鏡編み》が《しもべ》に打ち込まれると……。
Jelgerがトップ8に相応しい速やかな勝利で、1ゲーム目をものにした。

Manuel Bucher 0 - 1 Jelger Wiegersma

次のゲームが始まってすぐの時点で、Manuelはすでに未来を予測できていたのかもしれない。
Jelgerの立ち上がりは、迅速だが力強くはなかった。が、《ゴールドメドウの重鎮》と2枚もの《ブレンタンの炉の世話人》が。
一方のManuelは《台所の嫌がらせ屋》で攻撃クリーチャーを抑え、《叫び大口》に《熟考漂い》と続ける。
確かに、カード・アドバンテージの面ではスイス人が優位に立っている。
《炎渦竜巻》が盤面を平らにすると、Jelgerに暗雲が立ち込めたように見えたが、サイド・インした《目覚ましヒバリ》が今一度《炉の世話人》と《皺だらけの主》を呼び戻す。

《変わり谷》も手伝って、徐々にJelgerは試合の流れを取り返していく。
《鏡編み》がManuelの防衛線を打ち砕き、しかし《炎渦竜巻》が再び全クリーチャーを排除する。
そして、ただ1枚の《変わり谷》が無人の荒野を駆け抜けた。

Manuel Bucher 0 - 2 Jelger Wiegersma


準々決勝:Raphael Levy vs. Jonathan Randle
by Tobias Henke

2人のプレイヤーがフットボール(アメリカのみんな、「サッカー」だよ)について談笑しながら席に着いた。
見たところ、イギリス人の方はこの話題にあまり詳しくないようだ。
そのJonathan Randleは、マジックに関してはそうでない事を証明できるだろうか。
彼は《キスキン》を使用し、フランスのRahael Levyは独特の5色《エレメンタル》だ。

ダイス・ロールはLevyが勝利し、《炎族の先触れ》で《煙束ね》を持ってくる滑り出し。
対するRandleは《ブレンタンの炉の世話人》から《メドウグレインの騎士》。
Levyの3ターン目には《叫び大口》が《騎士》を平らげ(《煙束ね》のお陰で場に)、代わりに《皺だらけの主》が出てくる。
そして、2/2になった《炉の世話人》と《大口》が相打ったところで、Levyは《目覚ましヒバリ》を召喚。
Randleの《民兵団の誇り》は機能不全に陥っている。

フランス人はさらにゲームを支配する《エレメンタル》を追加。
トランプル、警戒、速攻5/5の《概念の群れ》が《目覚ましヒバリ》と共に大打撃を加える。

イギリス人もまだまだ負けてはいない。
《雲山羊のレインジャー》で巨大アタッカーとの相打ちを強要すると、Levyは計算の後にレッド・ゾーンへなだれ込む。
Randleは《レインジャー》のブロックで《目覚ましヒバリ》を相殺、《概念》がRandleのライフを5まで落とした。

Randleは《皺だらけの主》とトークン3体を攻撃に出し、《煙束ね》と《炎族の先触れ》がトークンを1体ずつブロック。
しかし《概念の群れ》によって蘇った《叫び大口》によって、チャンプ・ブロックを相打ちへ持ち込んだ。
だが、Randleはここで《風立ての高地》から《雲山羊のレインジャー》を補充。
一瞬、Levyの脳裏に《鏡編み》の影がよぎるが、ブロックされない《叫び大口》で2度攻撃すると、Randleの手札に何もない事が明らかになった。

Raphael Levy 1 - 0 Jonathan Randle

Levyのサイドボーディング:
−4 《炎族の先触れ/Flamekin Harbinger(LRW)》
−3 《雲打ち/Cloudthresher(LRW)》
−4 《白熱の魂炊き/Incandescent Soulstoke(LRW)》
+1 《薄れ馬/Wispmare(LRW)》
+2 《誘惑蒔き/Sower of Temptation(LRW)》
+2 《膿絡み/Festercreep(MOR)》
+4 《炎渦竜巻/Firespout(SHM)》

Randleのサイドボーディング:
−1 《雲山羊のレインジャー/Cloudgoat Ranger(LRW)》
−1 《シスルダウンのしもべ/Thistledown Liege(SHM)》
−2 《民兵団の誇り/Militia's Pride(LRW)》
+2 《外身の交換/Crib Swap(LRW)》
+2 《薄暮の大霊/Oversoul of Dusk(SHM)》

2ゲーム目は両者共に7枚の初手をキープ、Randleの《風立ての高地》と《メドウグレインの騎士》が開幕の狼煙を上げる。
Levyは2ターン目に《煙束ね》再び、そして《概念の群れ》に繋げて5点パンチをイギリス人の顔面に叩き込んだ。
しかし《概念》は《外身の交換》で即座に退場、失ったライフを《騎士》が回復させる。
Levyは《熟考漂い》を盤面に加え、《多相の戦士》トークンで攻撃。
《皺だらけの主》で強化しつつ、《変わり谷》と《メドウグレインの騎士》がLevyのライフを16から6へと落とし込んだ。

Levyは次の一手を模索する。
彼の手札には一通りの《エレメンタル》が揃っているが、《叫び大口》はない。
それを求めてプレイしたもう1枚の《熟考漂い》から《名も無き転置》を入手し、《皺だらけの主》を破壊する。

Randleの《ブレンタンの炉の世話人》《変わり谷》それに《メドウグレインの騎士》が突撃、《騎士》を残して《炉の世話人》が《熟考漂い》に倒れ、《変わり谷》ともう1枚が相打った。
しかしこの攻撃の目的は、明らかにダメージを通す事ではなかった。
これらを代償にして、《風立ての高地》から《雲山羊のレインジャー》が隠れ家から飛び出す。
Levyは3枚目の《熟考漂い》をプレイ。

《雲山羊のレインジャー》は2体の《熟考漂い》と引き換えになるが、取り巻きのトークンは《幽体の行列》と共にLevyにプレッシャーをかける。
早々に対処しなければ致命傷ともなるが……、Levyは実際回答を隠し持っていたのだ。
《膿絡み》の登場で盤面が一掃されて、Randle側に何もなくなったところにLevyは逆転の《雲打ち》を。
7/7がRandleの生命を脅かし始める。

Randleは数体のクリーチャーで寿命を延ばすが、トークン生成カードなしでは根本的解決にならない。
遂に《雲打ち》が彼の膝を折った。

Raphael Levy bests Jonathan Randle 2-0 and advances to the semifinals.


準決勝:Raphael Levy vs Lee Shi Tian
by Frank Wareman

Leeの立ち上がりは《ゴールドメドウの侵略者》から《皺だらけの主》、このフォーマットで良く見られる光景だ。
Leeの土地は2枚で止まってしまうが、代わりに軽コストのクリーチャーを引いている。
テーブルを挟んで、Raphaelが《白熱の魂炊き》を2枚並べる。

Leeは土地を見つけられないままに、《皺だらけの主》をもう1体追加する。
2体の《侵略者》もマナがなければ、Raphaelの《エレメンタル》軍団を止める事ができない。
Raphaelは《熟考漂い》想起からの《目覚ましヒバリ》想起で陣容に厚みを加え、都合良く引いた《名も無き転置》でLeeの防御を崩しつつ攻勢に出た。
ライフが6となったLeeは、2ゲーム目に命運をかける事にした。

Raphael Levy 1 - 0 Lee Shi Tian

Leeの2ゲーム目開幕は、《ゴールドメドウの重鎮》から《侵略者》に《ブレンタンの炉の世話人》と迅速を極める。
数ターンの間、白い軍勢と除去の引き換えが続き、両プレイヤーとも均衡を崩す事ができない。
《侵略者》でRaphaelの《煙束ね》を足止めしている間に、まずLeeが《幽体の行列》で頭1つ抜け出した。
《スピリット》に空から殴られ、Raphaelのライフは11に。

Raphaelは自分が窮地に立たされている事を自覚する。
手札には強力なカードと除去で満たされているが、如何せんマナがない。
《キンズベイルの勇士、ブリジッド》のためにブロックも難しく、2枚の《叫び大口》と《その場しのぎの人形》を駆使しつつ、3枚目の《叫び大口》を引く。
そうして、ライフ1の断崖を背に持ちこたえるのだが、Leeは最終防衛ラインの《目覚ましヒバリ》2枚をタップで無効化すると、最後のライフを削り切った。

Raphael Levy 1 - 1 Lee Shi Tian

全てを決める第3ゲーム……、Raphaelは痛恨のマリガン。
6枚の手札をキープするが、マナに若干の不安要素を抱えている。
Leeは《キンズベイルの勇士、ブリジッド》を公開しての《ゴールドメドウの重鎮》スタート。
《重鎮》後は《ブリジッド》かというアクションの鈍さだが、Raphaelはその間《樹木茂る砦》に《反射池》2枚と、必要マナを捻出する事ができないでいる。

《鮮烈な林》を引いてさあこれから、というRaphaelの受難は続く。
Leeの《ゴールドメドウの侵略者》のせいで、何をブロッカーにしても対処されてしまう。
《叫び大口》が《ブリジッド》を屠りつつ《風立ての高地》の起動をけん制するものの、ダメージを防ぐに至らずライフは7に。

そして、Raphaelはここで盤面を一掃する《炎渦竜巻》を手に入れる。
しかしLeeも負けじと《雲山羊のレインジャー》、次のターンにも勝負を決める勢いだ。
Raphaelは再び訪れたこの危機に、5枚の手札へ回答を求める。

《名も無き転置》と《叫び大口》想起で《レインジャー》とトークン1体を対処、2体がまだ残っているが――《風立ての高地》を機能不全にする事はできた。
次のターンにライフは5となり、Raphaelは《誘惑蒔き》で《キスキン》トークンを奪う。

しかし、Leeはこの時点まで温存していた《幽体の行列》で攻勢を緩めない。
2枚の《風立ての高地》の起動チャンスを逃す事なく、次のターンの攻撃で隠されたカードが明らかになる。
《皺だらけの主》と《思考の糸の計略》が表返り、Levyの防御網はもはや意味を成さず、8点のダメージと共にLeeを決勝へ導いたのだった。

Raphael Levy 1 - 2 Lee Shi Tian


決勝:Lee Shi Tian vs. Remi Fortier
by Tobias Henke

そして、これが最終戦だ。
香港のLee Shi Tianは夢にまで見た舞台に立っている。
トップ8に進出して、決勝へのわずかな望みを抱き、彼は今ここで初の戴冠まで後1試合に迫ろうとしている。
そこに立ちふさがるのは対面のフランス人、Remi Fortier。
彼はすでに昨年のバレンシアで名声を勝ち得ており、この地での勝利にも余念はない。

Tianがダイス・ロールに勝利し、《思考の糸のうねり》《ゴールドメドウの侵略者》《皺だらけの主》に《平地》4枚――完璧とは言い難いが、《雲山羊のレインジャー》のような重いスペルを期待できるなら、という手札をキープ。
テーブル向かいのFortierはマリガンして6枚に。

Tianの2ターン目には《メドウグレインの騎士》が、Fortierには《苦花》。
《皺だらけの主》の登場でFortierのライフは14となり、《苦花》で13へ。
2枚目の《皺だらけの主》は《呪文づまりのスプライト》で打ち消されるものの、Tianの攻撃でFortierのライフが6まで落ちる。
その後に《ゴールドメドウの重鎮》を盤面に加えた。

次のターンの《重鎮》《皺だらけの主》《騎士》《侵略者》の総攻撃に、Fortierは3体のブロッカーしか用意できず、《思考の糸のうねり》と《苦花》のライフ・ロスがゲームの終了を告げた。

Lee Shi Tian 1 - 0 Remi Fortier

Fortierのサイドボーディング:
−1 《思案/Ponder(LRW)》
−1 《ウーナの末裔/Scion of Oona(LRW)》
−2 《霧縛りの徒党/Mistbind Clique(LRW)》
−2 《謎めいた命令/Cryptic Command(LRW)》
+4 《叫び大口/Shriekmaw(LRW)》
+2 《増え続ける荒廃/Incremental Blight(SHM)》

Tianのサイドボーディング:
−3 《思考の糸のうねり/Surge of Thoughtweft(LRW)》
−2 《民兵団の誇り/Militia's Pride(LRW)》
−1 《雲山羊のレインジャー/Cloudgoat Ranger(LRW)》
−2 《鏡編み/Mirrorweave(SHM)》
+1 《シスルダウンのしもべ/Thistledown Liege(SHM)》
+2 《キンズベイルの勇士、ブリジッド(LRW)》
+2 《思考の糸の計略/Thoughtweft Gambit(SHM)》
+3 《キンズベイル国境警備隊/Kinsbaile Borderguard(MOR)》
 
2ゲーム目は両プレイヤー共に納得のいく立ち上がり、《ゴールドメドウの重鎮》《メドウグレインの騎士》《皺だらけの主》のTianに、《苦花》《ウーナの末裔》のFortier。

《重鎮》と《騎士》がレッド・ゾーンに送り込まれるが、ブロック指定前は逢魔が辻、Fortierの《ヴェンディリオン三人衆》がTianの手札を暴こうとする。
そこでさらに対応される《シスルダウンのしもべ》、白い攻撃部隊を重ねて強化。
スタックが空になり、《三人衆》と《ゴールドメドウの重鎮》が相打ちに、《苦花》トークンがチャンプ・ブロック。
Fortierのライフは9に。

《増え続ける荒廃》が《皺だらけの主》を排除し、《しもべ》と《騎士》を弱体化。
これで白軍の勢いもかなり削ぎ落とされ、非常に面白い試合展開になってきた。

しかし《しもべ》はまだ場に居座っており、Tianはその恩恵を背に《幽体の行列》で迫る。
《シスルダウンのしもべ》は生かしておけぬ――《叫び大口》が牙をむく。
Tianの次の攻撃でFortierのライフは6となり、《苦花》が彼のライフを絶えず蝕んでいく。
特に、2枚の《霧縛りの徒党》を彼のサイドボードに引っ込めている事もあって、黒いエンチャントが持ち主への深刻な脅威に変容する。

今一度の攻撃(3体の《スピリット》トークンと《変わり谷》)で彼のライフは4まで落ち込み、そして3に。
この時点でFortierの陣営は質と量共に相手を上回っているのだが、序盤の《メドウグレインの騎士》による複数回の攻撃でTianのライフは安全圏の27。
ダメージ・レースはFortierの勝利を待ってくれない。だが彼はそこに挑む。

彼は自分のほろ苦い《花》への対処法を求めて《思案》。
しかし、シャッフルを経ても求める覇権クリーチャーもしくは《謎めいた命令》にたどり着けない。
ライフが1になった彼のドロー、観衆はみな息を呑む……。
Fortierが勝者に最後の握手を求めて手を伸ばした瞬間、拍手が巻き起こった。

Congratulations to Lee Shi Tian, winner of GP-Birmingham 2008!
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